アマゾンプライムにて原題 The MANORもとい呪われた老人の館を鑑賞しました。
呪われた老人の館
本編もスリラーっぽい運びで面白かったのですが、特にラストが大変興味深い内容でした。そこで”なぜそうなったのか”、私なりの解釈を解説したいと思いこの記事を書くことにしました。
まずはネタバレのない映画の説明からどうぞ。
概要
原題 The MANOR
監督 アクセル・キャロリン
出演 バーバラ・ハーシー、ブルース・デイヴィソン、ニコラス・アレクサンダー
ジャンル ホラー
Manorというのは荘園や館という意味ですね。
イメージとしては古くて大きい邸宅といった感じでしょうか。
あらすじ
軽い脳卒中を患った後、ジュディス・オルブライトは仕方なく由緒ある養護施設へ移り住む。だが、そこでは何か不思議な力が入居者たちを死に至らしめているとジュディスは確信する。
Prime Videoより
主人公のジュディスは脳卒中をきっかけに家族と別れ養護施設に入ることを決めるも、そこでは奇妙なことばかりが起きる。周りが「認知症だからよ」と説得するもとうてい納得できず…。はたして本当におかしいのはジュディスか養護施設か?
というスリラーのようなホラーです。
ラストへのフラグ
ではここから私なりにラストへのフラグを解説するので、本編鑑賞済みの方のみご覧ください。
「血の伯爵夫人になるわ」
例の三人と席をともにしながら、他でもないジュディス自身が吐いたセリフです。
処女の血を浴びてほんとに若返るなら、血の伯爵夫人になるわ。
この時点では単なる冗談の一つに過ぎませんが、彼女という人はそもそもこんな冗談を言うくらい若さに価値を見出している人であるということがこの発言からわかります。
ではその理由は何なのか?
若さや容姿が物を言う世界で長年生きてきた
彼女は長年ダンサーとして活躍してきました。そこは若さや容姿が物を言う世界です。
少々残酷に聞こえますが、ダンサーには体力がいるでしょうから若さが物を言うのは当たり前で、容姿が良ければ舞台映えもするでしょうからこれは致し方ないことです。
そんな世界に長年いた彼女ですから、当然その価値観に染まっていても不思議ではありません。
彼女にとっての若さや容姿は、一体どんなに価値があったことでしょうか。
ダンスを踊りたかった
遠い昔の彼女は、若く美しく情熱的なダンサーとして満ち足りた日々を過ごしていました。
そしてそれは老いてからも変わらず。ジュディスは家族や友人に囲まれ、友人のお子さんにバレエを教えるなど充実した毎日を過ごしていました。
彼女の人生はダンスとともにとても満ち足りていたのです。
ところが脳卒中を患った途端に彼女はすべてを失います。
「ダンスが踊れなくなってから友人にも見放された」というセリフからもわかるように彼女は友人を失い、さらに養護施設に入ることで家族からも遠のくはめになってしまいました。
つまり踊りというのは、彼女の輝かしい時代の象徴であったといえると思います。
「何より踊りが恋しい」という言葉の裏には、満ち足りていた日々への追憶が隠されていたのではないでしょうか。
プライドが高い
「(老いによる)衰えを家族に見せたくない」という発言や、「私はあなたの母親よ 子供じゃない」(子ども扱いするな)という発言からわかるように、ジュディスはプライドが高く自立心の高い人であるということがわかります。
そんな人が自身の老いによる衰えをどう感じていたか、想像してみてください。
きっと人一倍 思い通りに動かない体に失望していたに違いありません。
孫の成長を見届けたかった
心の支え・若さの秘訣と豪語する孫のジョシュ。
彼女にとってのジョシュはかわいいかわいい孫であり、孫との仲に嫉妬する娘よりずっと愛おしい存在に他なりません。
そうやって見守ってきたジョシュの成長を、これからは見ることが出来ない。
それがどうでしょう。養護施設の老人の命をいけにえにするだけで、これからは老いることもなくジョシュとともにいられる上に、夜になれば若い体に戻ってダンスを踊ることも出来る。
彼女は別段悪人ではありません。でも見知らぬ老人の命と天秤にかけたものは、彼女にとってもっとずっと大切なことだったのです。
最後に
予想外のラストにびっくりしましたが、思い返せばフラグも理由もあったなと思ったので 今回は解説がてらまとめてみることにしました。
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少しでも面白いと思っていただけたら幸いです。
以上、池谷でした。